 石と笛 ( No.1 ) |
- 日時： 2005/09/21 23:20
- 名前： ピピン
- 魅力的なタイトルに惹かれて手に取ったのですが、その枠構造とでも言うべき構成に予想以上に苦しめられ、こんなに時間がかかってしまいました。読み続けながらこんなにかかった本はほかにありませんね（笑）
第１部は「語り」、第２部は「夢」という形で、暗示が波状的に配置される（あるいは額縁のように並べられる）かっちりした「古典的」構造で組み立てられていて、「さすが、ドイツだ！」という根拠のない感慨を抱いて読んでおりました。
このような印象とは別に、ストーリーや登場人物など心惹かれる箇所が多くありました。カエル、オオカミ、ネズミ、ヘビ、タカといったいろいろな動物が重要な役目を持って登場しますので、それもまた楽しめました。しかも、第３部に入ってからは、枠構造がゆるみ、ストーリー展開も早くなりますので、「おおおお！」と急速に引き込まれていきました。
ようやく読み終えた今、長い荷物を下ろしたような気分です。それは「積ん読」が４冊終了したという意味だけではなく、主人公の重荷を背負った旅の終焉に居合わせた者としての感想でもあります。骨太のファンタジーだったと思います。
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ハンス・ベンマン