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ピピンのこと

指輪物語の中で一番自分に近いのは誰だろうと考えたときに、このピピンが思い浮かびました。好奇心が旺盛でそそっかしく、多分ガンダルフがいたら「馬鹿者！」としょっちゅう叱られていたでしょう。・・・さらに、ピピンのようにみんなに愛されたいなあ、という願いも込めてピピンを名乗ることにしました。

　映画ではピピンは「お笑い担当」が多いようです。確かに派手さはないし、よけいなことをしてトラブルを引き起こす問題児でもあります。エルロンドは彼を旅の仲間に入れることを随分渋っていたほどです。でもその一方で、彼は強運と勘の鋭さと機転の早さを持ち合わせた、隠れた偉大な功労者ではないかと私は密かに思っているのです。

　話は変わりますが、私のメーラーはポストペットです。現在は２代目のメリー（ねこ）ですが、初代はピピン（うさぎ）でした。このピピンは「指輪物語」のピピンと同じで好奇心が強くお出かけしてはいろいろなものを持ち帰ってきました。一年半ほど一緒に過ごしましたが、今はメモリアルパークに眠っています。

*******二年ぶり加筆しました*********

　２００３年の春、映画「二つの塔」でピピンがようやくその能力を示し始めました。エルフブローチをメッセージとして残したり、エントを引っかけてたきつけたり（これは本来のピピンの仕事ではないはずだが）といった、小技を披露し始めました。しかしながら、映画関係のピピンに関する紹介は一向に変化が見られませんでした。

　２００４年の春、映画「王の帰還」でいきなり役目が増えました。パランティアのぞきは勿論ですが、そこでサウロンの計画を読み取ったり（！）、ガン爺と出かけて狼煙を遠くからながめるのではなく、自分で炎を灯したり（！）、デネソールに忠誠を誓うだけでなく、歌を歌って見せたり（！）、ファラミアを助けるためにガン爺を探すだけでなく、自分でファラミアを薪から引きずりおろしたり（！）、と予定外の大活躍を行い続けます。いやあ、びっくりしましたなあ。おかげでメリーと区別してもらえるようになりました。

・・・でも、なんとなく、少しずつ、キャラクターが違ってしまうのが残念です。どう違うのかと言えば、つまり、立派過ぎるような気がします。ピピンの手柄というのは、やぶ蛇的好奇心は別にして、窮地に立った時、「急に速くなる機転」と「精度が高くなる判断力」にあります。彼の力量では、パランティアでサウロンの計画なんかとうてい読めっこないし、ガン爺に言われて狼煙に火を付けても、それはメリーに言われて花火を盗んだ時と同じで、ピピンの美質とは何ら関係ありません。歌はビリーの能力ですからこれは置いておくとして、ファラミアを薪からおろす火事場の馬鹿力（文字通り）は、人（？）として心ある者としてあるべき姿ではあり、勇敢な行いだとは思いますが、ピピンの特質とは無関係レベルです。原作でデネソールへ最後まで忠誠を尽くし続ける彼の誠意ある言葉、召使いやベレゴンドに冷静且つ理性的な判断を迫るその姿勢こそが、人を動かし、読み手を動かしていくのです。

　ピピンは大活躍です。それだけでもよしとしましょう。わずか１０時間ばかりの映画に切りつめられたこの作品の中で、最も変質が少なかったのはピピンだったかもしれません。最初から「好奇心旺盛」というステレオタイプ的要素を一つ持っていた彼は、その「好奇心」に救われたのでしょうね。

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些細な話(1)

「ピピンさぁん！」とオフラインの雑踏や喫茶店の中で呼ばれることに強烈な照れを感じます。以前なら、誰も知らない名前でしたから、きっと「変わったニックネーム」で通っていたかもしれません。（無理かな）　でも、この映画のおかげで知名度が一気に上がってしまいました。ひとりこっそりポストペットに名前を付けてニヤニヤしていた頃とは随分違ってしまったのです。